『医学生』南木佳士
南木佳士は高三の秋くらいかな、過去問に天地有情というエッセイが出題されいて初めて知った作家だった。
この天地有情がすごく良くて、救いになったことは前にも書いたと思う。
受験が終わったら南木佳士の作品をたくさん読もうと思っていたけど、実はあんまり読めていなかった。
Amazonの中古出品が意外に使えることに気づいて本を爆買いしたときに、南木佳士を3冊買った。
読んで一番思ったことは、思考や好みがふわふわした人間だからこそ、実学を学ぶべきだったかもしれないということだ。
最近友達(さよ)とも言っていたことだけど、鬱傾向がそれなりにあって基本的なスタンスが辛めの人間は、せめて他の人間の役に直接的に立って、そこに存在意義を見出していかないといけない。
工学部とかに行って、インフラを整備した方が良かった。哲学とかは知らん。
北海道に行ったときに、道路作るのは重要なことだと、強く思った。
作ってもすぐに古くなり、また張り直さないといけない。しかし張り直せば、とても多くの人が、また十数年快適に暮らせる。これは救いだ。
世界の進行は直線的じゃなく循環していて、私も世界の循環の一部だと思いたい。
いまの私になにができるのか。役に立つことは、つけめんとまぜそばのどちらを食べるか聞いて回るくらいしかしていない。
美味しい食べ物を食べさせることは、他人に幸福を提供することで、根源的な生きる意味に繋がる。いまのバイトを始めてから、そう感じている。
他利的な意味ではなく、純粋に自分の幸せのためにも、他人を幸せにすることは意味のあることだと思う。
しかし他利を実感できる職業は、大抵賃金が安い。
私は美味しくて高いご飯を食べてお酒を飲みたいし、いい気分になれる服を着ていたいし、広くて綺麗な住みやすい部屋で暮らしたい。
自分が幸せになりたいという欲望には、他人を幸せにすることが含まれていて、その折り合いをどうつければいいのかわからない。
2019.4.30 1:19