生活の倫理

生活の感想

『虐殺器官』伊藤計劃

 

 

これは読んだらいい。

 

 

すごい。面白い。賢い。

 

 

ハーモニーも絶対に読む。

 

 

SFって嫌いではないんだけど、そこまで好んで読んでこなかった。でもいいものだね。

 

平山夢明とか小林泰三は好きだけど、あの辺はSFには入るのかな。

 

 

この作品は説明のもっともらしさがものすごい。

確かにそうだね、脳の特定の部分をマスキングしてね、痛みを知覚できるけど感覚はしない状態にね、うんうんできるよね、と思ってしまう。

 

科学のもう少し発展した世界を描くジャンルだから、もっともらしさを出すことが上手いのはもう、1番なんだと思う。

 

 

私は梓崎優がすごく好きなんですけど、その感じもあったね。

 

 

理解はできるけど共感はできない価値観。

 

 

梓崎優そろそろ新作出してないかな。後で調べてみます。

 

 

1つ前の記事で書いたけど、いま文字通り積んである本がたくさんある。なのに読みたい本が増えてしまう。

 

 

この本はなぜ読んだかというと、2ちゃんねるの「お前らのおすすめ小説教えろ」みたいなスレで絶対に名前があがっていたから。

 

 

だから読み始めてすぐは

「ふんふんめっちゃ強い特殊部隊だけどナイーブで文学青年な僕ねラノベじゃん?」

みたいな、おすすめに従って読んでおいてなんだお前みたいな態度で読んでいた。

 

 

推されるものにはそれだけの理由がある。

 

 

2ちゃんねるをもう少し信用します。

そういえばなんか5ちゃんねるになったよね、なんでなんだろう。

 

いろんなことを知っていくのは大事なことですね。

 

 

2018.10.05 02:57

『青春と変態』会田誠

 

今日本棚にあった漫画をほとんど売った。

 

 

 

『月曜日の友達』2冊と、『アラサーちゃん』と『聖☆おにいさん』の最新刊だけ残した。

 

 

読んだ小説はもう読まないかなと思い、人にあげるか捨ててしまうが、漫画はすぐ読めるからまた読むかなと思い置いてあった。

 

しかし本棚の整理をするときにだけ少し読むだけで、ちゃんとは読まないようだ。

 

 

家にある漫画を読むんだったらネカフェに行くかレンタルコミックを借りて新しい漫画が読みたい。

 

 

人が来ると、本棚をみて話が弾むことが多い。それもあって置いていたけど、もう読まないのにそれも虚しい。

 

 

昨日から本棚を整理してる。

 

 

 

元はカラーボックスだった物を、横板を外して倒して置いて、その中に本を詰め込んでるだけだから、本棚というよりは本箱だ。

 

上にテレビも乗せて、テレビボード兼本箱。

 

 

 

その本箱を整理していて、途中まで読んだのに読み切ってない本がまあ出てくること。

 

 

 

自戒のためにこたつの上に全部積んだ。邪魔だ。

 

 

この本もそうやって発掘された本だ。

 

 

去年京都の大学に行ってる友達と祇園祭りに行った日に、河原町ジュンク堂で買った。

 

7割くらい読んで、友達の家に忘れて帰った。

 

 

 

タイトルも内容もキャッチーで良いし、さっき読み切って普通に面白かったとは思ったが、別に読まなくてもよかった。

 

悪口だ。でも本当にそんな感じ。

 

 

スカトロ要素があるから、なんとなく他にない作品という雰囲気があることはあるけど、そこ以外はなにも言うことがない。

 

 

これも手元には置いておかないだろう。

 

本業は芸術家の人らしいから、好きな人がいたらあげます。

 

 

2018.10.04 23:20

『通天閣』西加奈子

 

コンビニ店員の中国人がとても好きだった。

 

 

「休みはあるのか、寝ているのかと、こちらが気にかけてしまうほど、毎日いる。」

 

最初の描写は典型的な外国人労働者なのに、肉まんを素手で掴みおでんの味を自分好みにしダンボールを蹴りつけて潰しと、やりたい放題。

 

 

舞台である新世界の住民にはわざわざ苦情をいれ改善を求める気力はないから、彼の牙城は崩れない。

 

 

 

 

夏に韓国に行った。そこで見た店員さんたちもすごく自由だった。

 

 

朝の10時ごろに、チムジルバンという韓国のサウナに行った。

一階で受付を済ませて二階にあがると、そこにはタオルを顔の上に乗せ眠るおばちゃん2人の姿があった。

 

 

 

友人とこれはどういうルールなのかと話していると、その声で起きたのか1人のおばちゃんが起き、「イロナイロナ!」と騒ぎ出した。

 

あとで友人から聞いたところによると、これは「起きて起きて!」という意味らしい。

 

 

何事かと思っていると、奥に引っ込みスタッフらしい服を着て出てきた。アニョハセヨ〜、と。

 

 

お客さんじゃなかったのか。

 

 

お客さんがまだいなかったから寝てたんだ。

 

 

 

 

 

西加奈子の小説に話を戻す。

 

ただ時間を過ごすことを目的として、日々を過ごしてしまうことがあなたにはあるだろうか。

 

私にはある。

 

 

勉強にも、サークルにも、バイトにも、遊びにも、趣味にさえ情熱を注げない時期。

 

 

ベッドから身体を引きずり出して、入ってる予定を消化するだけの時期。

 

 

この時期は、後から思うと勿体ない時間の使い方をしているが、それ以外の過ごし方は無理なのだから仕方がない。

 

 

 

スマホを触っていても、普段はdマガジンで雑誌を読んだりKindleで無料の本を漁ってみたり、ZOZOTOWNで物欲を燃やしたり、このブログを書いたりと、ある程度は生産的に過ごせる。

 

しかしこの時期は、LINEとInstagramTwitterの巡回しかできなくなる。スライムを握りつぶす動画や石鹸を切り刻む動画を、もうどれだけ無為にみたか。

 

 

その感覚を極限化したみたいな人が、この小説の主人公だった。

 

 

ただ1日を消費し、罰のような時間を耐え抜く。

意識的か無意識的かは問わず、そういう人間はある程度いる。

 

 

私は一時的にそうなるから、勿体ないなと後から思うが、常にそうならそれはそれで、期待値が低いからこそ安定した精神で日々を過ごせる。

 

 

そんな日々の中で救いを待ったり、他人に依存してしまうと、低いところでの安定のなかに不安が生まれるからこれは本当に辛い。

 

 

安定したいな。

 

 

2018.10.03 13:54

『Sex and the City 4,5,6』HBO

 

やっぱり最後にはビッグなんだ。

 

ビッグがやっぱりかっこいいし、キャリーに似合ってる。

 

 

 

エイダンはすごく良くはあったけど、キャリーに似合ってはいなかった。逆にエイダンには、キャリーじゃないもっと良き妻が見つかりそう。

 

あのロシア人芸術家は本当にだめだった。キャリーのことなにも考えてないし、演出過剰なところも「おえー」だ。

ロマンチックなのもおしゃれだけど、キャリーはそうじゃない。

 

 

でもこの人がいたおかげで、キャリーも親友たちに認められながらビッグとまた付き合えた。

 

 

本当に上手くできたドラマだった。

 

 

 

最初からずっとおしゃれで知的でユーモアがある最高の生活を観せてくれる。

 

 

こんな色褪せないことってある??

 

画質は確かに1とかは特に、悪めではあった。

 

 

シンデレラになりたいだとか、プリキュアになりたいだとか、そんな願望を持ったことはなかったけど、私はキャリーになりたい。

 

 

書けることはもっとあるなと思ってずっと下書きに眠っちゃってたけど、いい加減忘れかけてるので公開します。

 

 

最高のドラマです。

よっぽど映像を観ないって人じゃない限り、他の映像を観るよりまず観てみてほしい。

 

 

2018.10.03 13:50

『窓の魚』西加奈子

 

数日間の夏休みらしい夏休みを過ごしたあとの空白の1日。

 

 

正しくは、やるべきことを放棄した1日。

 

 

本を読むつもりだったけど、16時まで寝ていた。

 

無駄な1日を過ごしちゃったなとも思うけど、だらだらもしないといけないからさ。これもいい1日だ。

 

 

起きてなんとなくこの本を開いて、収録されている4編のうちの1つ目だけ読んで、暗い気持ちになった。だからあとはサイゼリヤに行って読んだ。

 

 

サイゼリヤはいいね。新在家はあんまり知り合いも来ないし。ごはんは安いし。雰囲気が明るいし。

 

 

さっき書いた『もういちど生まれる』とは、読後感も読んでる感じも真逆。陰気だしなんとなく憂鬱な感じだしそもそも画が暗い。

そこが雰囲気があっていいところだから、だめな訳では全くないけど、ただ暗い。

 

 

読んでいて一番思ったのは、誰かに知らない間に薬を盛られてたらいいなということ。

 

本当にされたら全然良くないけど、フィクションで薬が盛られるとすごく綺麗にみえる。

 

 

この小説の雰囲気を作ってる1つの要素として、誰かが言った重要なセリフが相手には聞こえていなくて、伝えたと思っているのに伝わっていないことがよくあった。

 

相手は聞き返すのが面倒で適当に流していたり、そもそも発言に気づいていなかったり。

 

 

ままならなさ。

 

 

2018.08.10 05:34

『哲学を着て、まちを歩こう ファッション考現学』鷲田清一

 

 

外は35度に達している夏の正午過ぎ。

 

 

26度の空調の中で熱い紅茶を飲み、大学をサボって私のベッドで昼寝をする人間を眺めながらこの本を読んでいた。

 

 

 

鷲田清一の本で、『モードの迷宮』という本がある。

 

それを読もうかなと思いジュンク堂の棚の前に来て、鷲田清一の本をパラパラ見ていたら、これが一番面白そうに思えたから買ってしまった。

 

 

タイトル的にちょっと、本当に、絶対に人前では恥ずかしくて読めないなとは思った。

 

私は哲学専修だから。自分がもし哲学専修じゃなくて、哲学専修の友達がこれを読んでいたら絶対になにか言う。そして絶対に言いふらす。

 

しかしそれでも、面白そうと思った本を、やっぱり読むべきなのだ。

 

 

読んでみたらキャッチーなほうの主題じゃなくて、副題のファッション考現学のほうがしっくりくる内容だった。

 

哲学っぽい内容もあるけど、ファッション哲学っていうよりはファッション思想とかファッション史みたいな。ファッション言い過ぎだな。

 

ファッションって字面がなんというか、ッの前も小文字だからめっちゃ吃音が強いように見える。

 

 

本読んでいるとたまに「それ私も思ってたけどやっぱりそうなのか!でも発表されていたのか!悔しい!」と思うことがある。

 

 

いまパッと思い出したところだと、江戸川乱歩の鏡地獄は、あれは本当は私の作品です。嘘だけど。

そういうときは大抵、自分が考えていたことと似ているけど、自分がやるより数倍いい形で発表されているから、諦めはつく。

 

 

この本では77ページが本当にそれだった。

 

高校時代が受験のためにあって、大学生活が就職のためにあって、会社員生活が老後のためにある。そういう考え方がある。

 

それがなんとなく嫌だなと、じゃあいつ自由になるんだよと思っていた。

 

 

現在がね、それ自体で充足しないのが嫌だったんだね。これを読んでしっくりきた。

 

 

服を着るのは好きだけど、お金をそんなにかけられなくて、ファッションをしっかりやれていないなとずっと思っている。

 

 

せっかく自由な身分なんだし、いろいろ買って着てみるようにしようと思う。

 

 

(読んだのは結構前だけど、下書きに眠っていたので更新)

 

2018.08.10 04:58

『もういちど生まれる』朝井リョウ

 

冷たくした部屋で布団を被り、背後に汗ばむ気配を感じながら読み終わった。

 

 

 

世の中に美しいものはそんなになくて、たまにそれを見ると世界からの肯定を感じる。

 

 

午後6時前に滝川記念の横を通ったときに、日差しの角度がとても綺麗で、教会の鐘が鳴った。

この風景は私のことが好きなんだろうと思った。

 

 

こんなときに天地有情は本当なのだと思う。

 

 

 

 

輝きは文章の中にしかない。

しかないは嘘だ、言いたかっただけだ。人は文章を読むとき、その風景を思い浮かべながら読む。そのときの画というのは自分のなかの、想像できるなかで最高のものだと思う。

 

だから、文章はその人が美しく感じるものが創られ易い表現だと思う。

 

 

朝井リョウの小説読むと、小説を書くのは本当に大変なんだろうなと思う。

 

自分のなかの、かっこつけて人から好かれたくてすごいと思われたくて、外に出していない感情や思考が、作品内で読んでいて嫌になってくるくらいしっかり描かれてる。

 

 

でもそれだけじゃなくて、それぞれが救われるわけではないのに、読後感が光を見たような気持ちになる。

 

 

朝井リョウは青春作家みたいなイメージを持たれがちだけど、鬱作品は多いし、私はとても好きだ。

 

 

2018.08.10 04:45