『漁港の肉子ちゃん』西加奈子
西加奈子を読むのは2冊目だ。正確には2作品目かな。前に読んだ『サラバ!』は長い作品で上下巻だったと思うから。
西加奈子ってどんなの出してたっけなあと思っていまAmazonを見てみたら、『まく子』も読んでた。
あとびっくりしたのが、『しあわせの黄色い象』って西加奈子なんですね。イメージなかったな。今度読んでみます。
これまで西加奈子はそこまで好きだとは思ってなかったけど、これはよかった。
もっというとこれを読んで、あっそういえば西加奈子の他の本も面白かったなって、いい部分の記憶を思い出した。
そこまで好きじゃなかった理由として。
これは完全に私が間違ってるってわかって書くんですが、長い小説ってなんかわざとかと思っちゃって、無駄に長くしてるだろって思っちゃって、あんまり好きじゃないんです。
ほんとに私が間違ってるんだけど、同じ内容なら短ければ短いほど表現として優れてると思う。
小説なんて娯楽なんだから、なに読むのめんどくさがってるんだと思われるかもしれないけど。
読む行為そのものよりも、読んだ物語が頭とか心とかどこかわからないけどそういう所になんとなく残っていく感じが好きだってこともあるかも。
言いたいのは、長い『サラバ!』の印象が強くてあんまり好きだと思ってなかったってこと。
『まく子』は忘れてたし。
『漁港の肉子ちゃん』で好きになれて本当に良かった。おそらく面白いであろう他の作品を読む気になれたのも良かったし、自分の偏った、長い作品が好きじゃないという好みだけで、西加奈子あんまり好きじゃないんさな〜みたいなことを言うのを辞められたことがよかった。
特に言った覚えはないが、将来のためにも。
きくりんという少女を主人公として肉子ちゃん親子を中心にまわる物語は、読み進めていくのがもう楽しい。そのうえに、有り体にしかいえないが自意識との葛藤というテーマが読後しっかりと残ってくる。
きくりんの親として人間として肉子ちゃんを愛しながらも、面白おかしい人間として肉子ちゃんを観察する冷静さ。
きくりんの親として人間として肉子ちゃんを愛しながらも、妙ちくりんな外見の肉子ちゃんと歩く姿をクラスメートに見られることを恐れる繊細さ。
次はなにを読もうかな。
2018.4.18 6:38