生活の倫理

生活の感想

『ハーモニー』伊藤計劃

 

 

ついさっき同じ学部の全く話したことのない子のTweetで、今日が伊藤計劃没後10年であることを知った。

 

 

別に悲しいわけではなく、ただそうなのか、知れてよかったなと思った。

 

 

例えば私の好きな作家で、誰でもいいが、例えば山田詠美が没後10年だと言われても意味は感じない。

 

 

しかし伊藤計劃は、夭折で死ぬ間際までこの作品書いてたみたいなエピソードがある作家だから、作家本人の死になんとなく意味がある気がしてしまう。

 

 

虐殺器官』が人文科学SFで、ものすごく面白かったから『ハーモニー』も読んでみた。

 

 

こっちも悪くないというか普通に面白かったけど、『虐殺器官』のほうが大差をつけて面白かった。

 

 

 

だからブログには書いていなかったのだろうか。面白かったら書くわけでもなく、なんとなく書きたいときに書いているだけだからわからない。

 

本当は読んだ本は全部書きたいと思っている。私は読んだ本の内容どころか、タイトルも読んだそばからほとんど忘れるから。

 

小さめのノートに、タイトルと作者と読んだ日と3行くらいの感想を書いていた時期もあった。3年くらい続いていた気がする。それはほとんど全部書けていたから、そっちの方がいいのかもしれない。

 

いまは2割も書いてない、つまり8割は読んだかどうかすら忘れる。

 

ブクログをやってみたこともあるが、いま見てみたら5冊しか登録していなかった。

 

 

 

 

『ハーモニー』の話を少しだけ。

 

印象的なシーンとして、砂漠で酒とタバコを入手するシーンがあった。

 

言われ尽くしていることではあるが、酒とタバコがこんなに自由に入手できるのは、珍しい世界だと思う。

 

 

2019.03.20 22:37

『涼宮ハルヒの消失』京アニ

 

 

涼宮ハルヒの憂鬱』は『涼宮ハルヒの消失』のためにあった。

 

 

ハルヒシリーズをこの年まで観たことがなかった。

同い年の子たちは共感してくれると思うが、ハルヒ系は世代がほんの少しだけズレていて、リアルタイムでは観ていないけど古典のノリで観る作品でもない。

だから有名な作品なのに、なんとなく観る機会がなかった。

 

エンドレスエイトの存在は知っていた。

知っていたが本当にふわっとした、なんか放送事故?でしょう?という認識しかなかった。

 

実際に観てみると思っていたほどエンドレスではなく、そんなに飽きずに観ることができた。

 

しかし放送で観ていて実際の時間経過としてに8週間かけられたら、ひと息に3時間ほどで観ていなかったら、飽きるし事故だと言いたくなるのだろう。

 

ひと息に観た感想としては、キョンたちも繰り返しに気付いてくれるのなら、長門なんかは私たち以上に繰り返しを認識してくれているし、それなら観れないことはないんじゃないかな、そう思った。

 

 

消失の最後にキョンハルヒを怒るシーンの、ハルヒの不機嫌な顔の表現がすごく綺麗だった。

 

文化祭も良かった。平野綾の歌が上手い。ハルヒがまともな子にみえた。

普段はキョン視点だから、ハルヒがやばい奴にみえているが、自分の能力を活かしながら楽しく高校生活送ってるだけの普通の女子高生にみえるようになった。

 

 

涼宮ハルヒの憂鬱』で、私たちもSOS団への強い愛着を持ってしまっているから、作り変えられた世界でキョンに移入して本当に焦ることができる。

 

キョンの焦ると全く客観視できない感じがかわいい。

 

 

本来の長門はこの文芸部の長門で、ハルヒが宇宙人あれと願ったから宇宙人になっていたのかなという気がしたけど、どうなんだろうか。

 

 

最終的に本来の長門は宇宙人の長門で、バグって改変して文芸部の長門になったと説明されたが、ハルヒが宇宙人あれと願わなかった場合の世界の長門と、ハルヒが力を持たない今回の異世界長門は同じな気がするから、やっぱり本来の長門は文芸部の長門なんじゃないかと思う。

 

 

観終わったばかりだしこんな時間だからわからなくなってきた。

 

 

それにしても面白かった。

学園ラブコメの正解が出ている。

SFとしてもすごく面白い。

 

 

最後のキョンが2人になって自問自答するシーンで、やれやれ系主人公へのアンサーも出ている。

 

 

化物語も少し観たけどあららぎさんが嫌いすぎてやめてしまって、好きな友達が大好きな作品でも面白く感じられないし、やっぱりアニメは合わないのかなと思っていた。

 

アニメが面白く感じられたことが嬉しい。

 

 

めだかボックス』は大好きだし、物語シリーズも小説で読んだら好きだったのかなとも思うけど。

あららぎさんがダメでキョンは大丈夫な理由はなんだろうか。

 

 

SAOとかリゼロとか、あまりラノベを読んでこなかった私でも知ってる作品は、どうせ面白いんだろうから読んでいこうかな。

 

 

2019.03.20 04:36

『御不浄バトル』羽田圭介

 

 

羽田圭介が好きだ。

 

 

 

作品も好きだが、顔がすごく良い。

 

 

 

でもこの本はあんまりだった。

古市憲寿の解説はよかった。

 

 

通勤途中にある綺麗なトイレの争奪戦や、排便や便所飯の描写は面白かった。

 

けどそれ以外のところ、恋人も会社もダッチワイフも、なんとなく入れといた感があった。

 

 

 

短編がよかったんじゃないかな。

 

 

無理にトイレ以外の世界を広げないほうがよかったかも。

 

 

『黒冷水』と『スクラップ・アンド・ビルド』はすごく好きなので、みんな気が向いたら読んでみてね。

 

2019.3.05 17:29

『風の歌を聴け』村上春樹

 

後輩が読んでいて読もうかなと思った本。

 

 

散歩していたら古本屋で100円で売っていたから買って帰った。

 

 

軽くふわっと読めるし、今まで読んだ村上春樹の作品のなかでは1番好きかもしれない。

 

 

僕と鼠が各場面でビールをぐいぐい飲むから、ビールをぐいぐい飲みたくなる。

ビールはすごく好きだけど、食べ物と合わせて飲むものという気がしていた。

 

夏になったらビールだけでぐいぐい飲もうと思った。

 

 

ビールを半ダース買って海に行って飲む描写があった。これをやりたい。

 

 

岩屋のあたりの海辺なら歩いていけるけど、砂浜が欲しい気がするから須磨かな。

 

 

 

一昨日読んだ小川洋子の『薬指の標本』には、薬指の先がない女の子が出てきたけど、こっちでは小指がない女の子が出てきた。

 

 

指が一本無いって、ちょうどよく異質な感じがしていい。だからフィクションには多いのかもしれない。

 

 

 

2019.3.4 04:53

『シュガータイム』小川洋子

 

 

長野で他人の本棚から勝手に読んで、続きが読みたくて買っちゃった本。

 

 

 

友達の家族が持ってる山小屋にあった本だから、他人って言っちゃうとよそよそし過ぎるかな。

 

 

 

人の本棚を見るのがすごく好きだから、チャンスがあれば真っ先に見てしまう。

 

 

冷蔵庫やクローゼット、引き出しなんかは開けちゃだめだけど、本棚はじろじろ見ても大丈夫だからありがたい。

 

 

だめってことにはならないでほしいな。

 

本棚なんてどの引き出しよりも私的な領域だと思うけど。

 

 

 

 

 

小川洋子は『博士の愛した数式』しか読んだことがなかった。

 

 

『シュガータイム』ってタイトルは小川洋子より山田詠美とかに似合いそうだなと思いながら5ページくらい読んだ。

 

 

全体のストーリーは『博士の愛した数式』の小川洋子が書きそうな、想像通りの進み方だった。

 

 

でもそのときに読んだ、最初の5ページの食欲や食べ物の描写があまりにも印象的だった。

 

 

 

なにもかもを胃の中に収めてしまいたくなる衝動。

これが食べたいと思って他のことが考えられなくなること。

食べたいという気持ちを満たすために費やされた時間を考えたときに感じる虚無感。

 

 

 

共感した。こういうことはよくあるし、こんな状態が程度の差こそあれ私の生活にはずっとあった。

 

 

私はたくさんのものを食べることができる。

同じものはあまりたくさんは食べられないけど、種類が変わったり少しだけでも時間が経ったらどれだけでも食べられる。

 

 

特に女の子と長い時間続けて一緒にいると、相手の腹具合を推し量って、自分の腹具合を申告することになる。

 

自分のお腹は昼ごはんをいっぱい食べたあとすぐでもおやつを受け付けてしまうから、おやつを食べたあとすぐでもタピオカを飲めるから、そのあとでもボリュームのある夜ご飯を食べられるから。

 

 

たぶん相手は、今はお腹がいっぱいで食べ物を食べたくないだろう。

 

 

たぶんいまおやつを食べてしまうと、あんまりボリュームのある夜ご飯は食べたくなくなるだろう。

 

 

このあとはカフェに行く予定だけど、すぐに言ってしまうと苦しいだろうから、少し歩いたり時間をおいた方がいいだろう。

 

 

 

お腹もすごく強いから胃もたれや、胃が疲れてるみたいな感覚は本当にわからないし、冷たい牛乳をどれだけでも飲めるし、焼肉も基本はあんまり焼かないほうが美味しいと思う。

 

 

朝からそんなに食べられない、みたいな感覚も本当にわからない。

 

 

 

パクチーしか嫌いな食べ物はなくて、好きな食べ物は挙げていくとキリがない。

 

 

 

こんなに食べ物を食べるのに適した人間も珍しいと思う。

 

 

 

好きなときに好きなように好きなものを食べていると、常人の3倍は食べてしまうから、すぐに太ることができる。

 

 

 

主人公は突然のものすごい食欲に戸惑い恐怖するが、なぜか体重はベスト体重から1gだって増えない。

 

ここを読んだときに一旦共感が切れた。

 

 

 

異常な食欲が肥満に繋がっちゃったら、たしかに作品の雰囲気は一気に暗くなるよね。

 

 

 

異常な食欲とともに生きつつ、恋人や家族との関係なんかの状況の変化で、描き切られないが最後には回復していきそうな気配を残して作品は終わる。

 

 

でもこの作品に、主人公の食欲に共感した、食べたら普通に太る私の救済は、どこにあるんだ。

 

 

2019/02/27 00:34

 

 

 

追加

お腹がめっちゃ強いって書いたけど、そういえば生キャベツをいっぱい食べた時だけなんかちょっとお腹が気持ち悪くなります。

最近春キャベツ安くてめっちゃ美味しいのでいっぱい食べてたらなって思い出しました。

なんなんだろこれ?

 

2019.3.5 20:19

『1984』ジョージ・オーウェル

 

 

大橋先生が講義中に無数に挟んでくる、「君たちいま僕が言ったことわかるよね?」みたいな小ネタにビッグブラザーの名前が出てきた。

 

 

そういえば初夏くらいの時期に読んだけど、書いてなかったなって。

 

 

他の記事でも書いたかもしれないけど、名作とされてる作品って読んだ直後は期待が大きすぎて、そんなに評価されるほどは面白くないなと思ってしまう。

 

 

でもなんか記憶に残る要素っていうか、生きていてそのうちに、ああこれかと思う要素がある作品が名作といわれている気がする。

 

『電気羊はアンドロイドの夢を見るのか』のシンパシーボックスが、じわじわ度は今のところ1番だ。

 

 

作中に、「ビッグブラザーはあなたを見ている」という標語がある。

 

 

このビッグブラザーが、毛沢東レーニンヒトラーなんだけど、この見られている感覚は、支配被支配関係にすごく関わってくる。

 

これは確かにねすごいね。そう思っていた。

 

 

でもこの前の宮下先生の美術史学の講義での社会主義芸術の話によると、この肖像画に見られている感覚の利用はよくあることらしい。

 

スターリンなんかも、自分の写真を各家庭に1枚ずつ配ってて、リビングの1番いい場所に飾ることが義務だったらしい。

毛沢東とかもめちゃ大きい肖像画をかざってますよね、天安門とかに。

 

これを聞いたとき、ジョージオーウェルはすごいなと思ったけど、冷静に考えたら1984が後だね。

 

 

良いフィクションを書くにはいろんな知識が要るんですね。

 

2018.12.27 23:54