生活の倫理

生活の感想

『号泣する準備はできていた』江國香織

 

読み終わって、なにか不安な気分になった。

 

 

この本を通して不安になっていったんじゃなくて、最後の一編で不安になったんだと思う。

 

 

 

最後の話は、不倫の末に相手の男が離婚したから、やっと一緒になれるけど、離婚したのはただ離婚したかったからって話だった。

 

自分と一緒になりたかったから別れたんじゃなくて、別れた後に、じゃあ君にしようかな。そんな雰囲気。

 

 

 

本当になんだそれと思った。悲しい。

君のことは好きだけど、わざわざ離婚するほど入れ込んでるわけではないよ、そう釘を刺されたみたいで、ずるい。

 

 

 

女王蜂に「あなたは優しく狡く悪い人」という歌詞がある。それが1番強い。

 

 

 

優しい人には2種類あって、無抵抗だから優しく見える人と、本当に優しい人がいるんだといままで思っていた。

でも後者だと思ってた人には、頭がいいから優しくできるけど、本当は優しくない人が入っていたのかもしれない。

 

 

優しくありたいし優しくされたいけど、難しい。

 

2018.07.01 15:25

『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』江國香織

 

 

中学生のころ、山田詠美が好きな男の子と付き合いたいと思っていた。

 

 

田舎の公立中学校にはそんな人は居なくて、もしかしたら居たのかもしれないけど知らなくて、居たとしても私と付き合ってくれたかどうかはわからないけど、そう思ってた。

 

おしゃれに恋愛をしてくれそうだなと思っていた、今思えば相手に頼りすぎだ。

 

 

 

専修に分かれてから、授業前後に話してくれる人がめっきり減ってしまった私と、哲学専修の授業で唯一話してくれる子がいる。

 

 

その子が最近は江國香織ばかり読んでると言っていたので、読んでみた。

 

 

作家は私小説を書かなくても、作品に自分を、生活を反映してしまうと思う。

 

 

自分自身と近いからか、とりわけ女性作家の作品を読むと、なんとなく作者像をその小説から作ってしまう。

 

 

 

江國香織は、あまりその像が描けなかった。

 

 

 

ほとんどの作家の作品からは、その人自身、あるいはその若い頃の自由な生活が、奔放な生活が、退廃的な生活が、静謐な生活が、浮き上がってくる。

 

 

江國香織はそれが弱いように感じた。

これは恥じらいなのか。単に作品を作るということに対しての心情の違いなのか。

 

 

わからないけど、ある種の押し付けがましさがこの人にはなくて好感を持った。

 

 

軽やかに雑じゃなく。

 

2018.06.28 23:28

日記

 

もう6月も28日だ。

 

 

毎日毎日ご飯を食べておやつを食べてお酒を飲んで眠ることしかしてない。

あとは海外ドラマを観ている。

 

 

もう夏が来るっていうのに。

 

 

20の夏だというのに。

 

 

今年の夏はどこに行こう。

韓国旅行は楽しみ。

 

 

生産的なことをしたいと思い、なにをしたらいいのか考えていたけど、生産的なことはとても少ない。

 

 

飲食店でもやろうかな。

 

 

塾で教えている小6の女の子に、好きな男の子がいるらしい。

 

 

彼女は愛される存在であることがわかりやすい。素直で可愛らしく明るい。勉強は嫌いだし苦手だけどがんばっている。

 

 

自分はどうだったかと考えると、彼女よりどれだけ算数ができても、彼女ほど愛されるべき存在ではなかったと思う。

 

 

 

彼女は小学生としての正解を出しているし、中学生としての正解も出すんだろう。そのまま人間としての正解も出してくれそうな気がする。

 

 

子供のころは大人びていることは良いことだと、少なくとも悪いことではないと思っていた。

 

 

 

年相応を積んでいくことが、大人びることではなく、大人になることに繋がるのかもしれない。

それなら私は大人びることはできても、大人になることはできないのかもしれない。

 

 

 

 

哲学をやりたかったんじゃなくて、なにか面白くてかっこいいことがしたかっただけなんだろう。

 

 

編集者になりたいんじゃなくて、なにか面白くてかっこよくてお金も貰えそうなものになりたいだけなんだろう。

 

 

 

2018.6.28 01:48

『うれしい悲鳴をあげてくれ』いしわたり淳治

 

 

帯に惹かれて買ったけど、やっぱり帯が良い本は面白い。出版社に推されるだけのことはある。

 

 

この本の帯は、コピーがすごくいいってわけじゃないけど、手書き風の素朴さがいい感じ。

 

 

おしゃれ手書き風じゃなくて、本が好きなだけで特にセンスがあるわけじゃない普通の書店員が頑張って書いた手書き風。

 

こういうの得意じゃないからって、黒で文章だけ書くんじゃなくてさ。

ちゃんと色を使ったり大きく書いたり縁取ったりして、がんばって魅力を伝えようとするんだけど、そんなにおしゃれにはできない、みたいな。

 

もちろんそれを狙ってやっているわけだから、この帯作った人はすごい。

 

 

 

この本はショートショートとエッセイが集められてるんだけど、その中の密室のコマーシャリズムという短編について書く。

 

 

ショートショート自体はステルスマーケティングについての話なんだけど、そこから得られる教訓、みたいなのを話の最後に直接的に書いちゃってる。

 

 

それは違うでしょう。そういうSF的なショートショートとかの醍醐味は、その教訓的なのを直接は述べられなくても読み取って、ニヤニヤすることでしょう。

 

 

ショートショートに限らず、いい小説には直接は述べられない教訓みたいなのを含むものが多いと思う。もちろんそんなのがなくても面白い作品もいっぱいあるけど。

 

 

言っちゃだめってことはないけど、言っちゃうのはおしゃれじゃない気がする。

 

 

 

そういうことをわかっていて、あえて直接言っちゃったのかもしれないけど、あえてそうする理由はわからなかった。

 

 

そこが気になっただけで、ショートショートはしっかり面白いし、エッセイも脱力おしゃれですごく良くはあったのでおすすめはできる本です。

 

 

 

 

 

と、ここまでを、この本の9割がたを読んだ時点で書いちゃったんだけど、あとがきを読んでここまでの文章は全くお門違いということがわかった。

 

 

この本は雑誌に連載してたエッセイを集めたもので、ひとつひとつの文章は全部エッセイとして書かれたものだったそうだ。だから小説風に書いてる文章たちは全部、いしわたり淳治が急に例え話作り話を始めて、その心を最後に付けて、エッセイとしてうふふとなって終わる感じなんだろう。

 

 

雑誌連載を集めて本にしてるから、私みたいに無粋な感想を抱く人も出ちゃったんだね。媒体のせいにしていこう。

 

 

2018.06.27 00:33

『蝶々の纏足・風葬の教室』

 

 

女性作家は幼く賢い女の子を描くのが上手い。

 

 

ちょっと主語が大きかったかもしれない。

山田詠美は幼く賢い女の子を描くのが上手い。

 

 

この本には2つのお話が入っていて、そのどちらともに1番主要な登場人物として美しい少女がでてくる。

 

 

そしてそのそれぞれの美しい少女の、子供時代の過ごし方が正反対だ。

 

 

美しく生まれたかったと思うことはよくあるが、それはそれでやっぱり大変なんだろう。

 

常軌を逸することは、良いことも悪いことも導く。

 

 

しかし長期的な幸福度があがる唯一の方法は整形だと、何かで見た気がする。

 

 

2018.06.18 18:38

『The Circle』ジェームズ・ポンソルト

 

 

公開してるときめっちゃ見たかったけどまだ観れてなかった。

 

 

今になって観る機会ができたから観てみたよ。

 

 

話の作りも画面もキャッチーだからなんかすごく時間が早く進んだ。

 

 

ただ主題が壮大すぎる映画にありがちだけど、最後までをしっかり映画の中に映し切るんじゃなくて、オチの部分を短いシーンだけで表すやつだったのが残念だったかも。

 

 

あの間を全部作っても面白いと思うし、長くはなりそうだからいっそドラマでもいけそう。

 

 

ドラマにするとかっこよかった電脳世界っぽい効果をあんなに丁寧には入れられなかったり、荒くはなりそうだけど。

 

 

 

 

 

(なんか書ききって更新だけしてなかった)

2018.06.11 14:26

『それからはスープのことばかり考えて暮らした』吉田篤弘

 

ちょうど半分くらい読み終わったところで思ったんだけど、話の進み方がアニメっぽい。

 

 

 

 

それは別に良い意味でも悪い意味でもなくて、ただそんなかんじだった。

 

 

つまり、この本は好きだったけど、進み方がアニメっぽいから好きってことでも、かと言ってそういう進み方じゃなかったらもっと好きだったってことでもない。

 

 

ひと続きの話だけど短編にそれぞれ分かれてて、その終わり方が一応落ちたけど後を引くというか、ここで終わりだなって明確にわかるけど世界は全然終わってない感じ。

 

 

後半に差し掛かったあたりには、その雰囲気がまたちょっと変わって、その話終わりはわかるけど大きな流れは次に次に行こうとする感じ。

話と話の間の余白が狭くなる感じ。

 

 

そんな感じがあった。

 

 

 

 

 

食べものの出てくる本は大体いい。

 

この本はサンドイッチとスープ。

 

 

柚木麻子とか小川糸とか、あとは誰だろう、平山夢明も食べものメインで書いたような作品はなかったと思うけど、おいしそうな描写があった気がする。

 

 

食べものは想像するのが楽しい。

 

 

聞いたことのない外国の料理名とかが出てくるとすごく楽しい。

 

 

今の時代調べればすぐ出てくるんだから検索して画像を見ちゃえばいいんだけど、頭のなかのほうが大抵おいしそうだから、あんまり調べることはしない。

 

 

だから読んだことだけある食べものを不意に目にすると、ほとんどの場合思ってたのと違って、それもおもしろい。

 

 

 

作中のサンドイッチ屋さんの名前が、3と書いてトロアって読むんだけど、三宮の上の方にそういえば3って名前のサンドイッチ屋さんがあったなって読んでて思い出した。

 

 

行きたいなと思ってたんだった。

 

 

おいしいサンドイッチが食べたくなったし、行ってみようかな。

 

 

 

 

2018.06.05 02:36